[ホームWEB漢籍解題]

口上と解説



  1. WEB漢籍解題について
     漢文は中国古典ばかりかさまざまな分野で使用されているので、読者のみなさんの中には中国古典に関する知識があまり必要でない人もいるかもしれませんが、それでもまるきり不要という人は少ないでしょう。漢文であるからにはたとえ日本や朝鮮の文章であっても文中にさまざま漢籍が引き合いに出されているものです。それらの漢籍について、誰がいつ書いたどういう内容の本なのか、どういうふうに書かれているのか、版本や注釈にはどういうものがあるのか、そういった事項を知らないと、本文読解にも支障が出てきます。
     このための入門書として昔から愛用されてきた名著があります。それが、桂五十郎(かつら・いそお)『漢籍解題』です。著者はまた桂湖村ないし桂湖邨(どちらも「かつら・こそん」と読む)と呼ばれている、新潟県出身の漢学者、早稲田大学教授です。1868~1937。
     『漢籍解題』は1905年に明治書院から出版され、その後も明治書院はもとより他社からも復刻版がいろいろ出ており、いかに愛用されてきたかがわかります。説明文が文語体で古めかしいきらいはありますが、さまざまな書物を書き下し文で引用しているという事情もあり、変に口語体に直すとかえって使いづらくなります。当然のことながら20世紀以後の漢籍および註釈・研究書の類は載っていないので他で補う必要がありますが、漢籍の場合は19世紀までの本が載っていれば事足りることも多く、いまだに十分役立つ本といえます。また、中国で出た同種の解題本と異なり、江戸時代などに出た日本の研究書をしっかりカバーしている点が便利です。
     しかしこの本はかなり高価です。明治書院から2005年に復刻販売されたものは18900円。古書店の相場も1万円弱、書き込みや汚れなどのあるワケあり本でも6000円以下にはならないというところです。1000ページにもなんなんとする大著ではありますが、これでは高価すぎて手が出ません。
     多くの図書館に所蔵されていますし、国立国会図書館近代デジタルライブラリーでも公開されていて無料で閲覧できます。しかし貸出を主体とする図書館でもこの本を辞書扱いして館内専用・貸出不可扱いにしているところが多いです。また国立国会図書館近代デジタルライブラリーのものは検索機能はまったくなく、1ページ1ページ繰っていくことしかできません。これでは気軽に使用することは困難です。
     そこで当青蛙亭でもこの名著を全頁コピーして公開し、簡単な検索機能をつけました。それが「WEB漢籍解題」です。
     原著に収録された漢籍 1399件、作者 1024人のデータをすべて収録しているのはもちろん、異名も 174件収録、各章冒頭の「小序」 13件を含めて計 1586件のデータを収録しています。



  2. WEB漢籍解題・例言
     「WEB漢籍解題」は右フレームに原著をそのままスキャンしたものを表示し、左フレームに検索CGIを配備しています。
    1. 使い方の大原則は、左フレームで書籍を検索する→該当の書籍の右側のをクリックする→右フレームにその書籍の載っている頁が表示される、というシステムです。
      なお、書籍の説明が複数ページにまたがっている場合は最初のページが表示されますので、適宜右フレームの「←次」「前→」などで移動させてください。
    2. 左フレームの作者名部分のリンクをクリックすると、その作者の伝が掲載されているページを右フレームに表示します。ただし原著では作者の伝は独立した項目になっているわけではなく、書籍の解題中の[作者]項に書かれているのですが、このリンクでは作者の伝の書かれた書籍のトップページに移動するので、その書籍の説明が複数ページにまたがっている場合、次ページに移動しなければならないこともあります。
    3. 左右のフレームは基本的に非連動です。つまり、左フレームでの検索の結果で自動的に右側が変化するわけではなく、をクリックしない限り右フレームは変化しません。また、右フレームでも直接ページを指定してそこへジャンプすることができますが、だからといって左が連動するわけではありません。「※左フレームをこのページの字に更新」をクリックしてはじめて連動します。
    4. ブラウザを終了させるまで右フレームは最後に表示したページを覚えているので、ブラウザを完全に終了させずに再度WEB漢籍解題を表示した場合、また検索条件をリセット(次項)した場合は、右フレームに表示されるページは1ページではなく、最後に表示したページになります。
    5. 右フレームは『漢籍解題』原著を単にスキャンしたのみです。明らかな誤植(原著巻末の正誤表に載っていないものも含む)や著しい印刷不鮮明部分は訂正しました(訂正は赤字でした場合と黒字でした場合とがあります)。
    6. 右フレームのデータは、モニタの解像度が高い場合はこのままでも字を読めるかもしれませんが、読みにくいときには「拡大」をクリックすると、別ウインドウにページが拡大されます。
    7. 検索画面に入力したデータを消去して初期状態にするには「リセット」をクリックします。またタイトルの「WEB漢籍解題」というところをクリックしても同様です。
    8. 各検索項目はスペース(全角も半角も可)で区切って複数入力することができます。その場合はそれぞれのキーワードをすべて満たしたものを検索します。
    9. 時代を限りたい場合は、検索画面の「時代」で限りたい時代(複数指定可)を選択します。時代を全く選択しない場合は当然ながら「すべて選択しない」という意味にはならず「すべての時代を選択」という意味になります。時代は次の8分類となっています。
      1. 先秦……漢よりも前、つまり太古~秦まで。実際には春秋・戦国が主。
      2. 漢……前漢(西漢)・新・後漢(東漢)
      3. 六朝……三国・晋・五胡十六国・南北朝期
      4. 隋唐……隋と唐
      5. 宋金……五代十国・北宋・南宋・遼・金
    10. 当WEB漢籍解題(および当青蛙亭のすべてのコンテンツ)はUnicodeを使用していますので、入力は日本語IMEばかりか中国語(簡・繁)や韓国語のIMEも使えますし、各種辞書ユーティリティで検索した文字をコピー&ペーストしても入力できます。
    11. 各項目は旧字体でも新字体でも大陸の簡体字でもかまいません。すべて旧字体に変換した上で検索します。ただしこの変換は当WEB漢籍解題に収録されたデータに限って行いますので、汎用の新字体→旧字体変換として使うことはできません。また、この場合の「旧字体」とは、漢籍解題本文で用いられている字体ということです。たとえば「晋」と「晉」とどちらが由緒正しい字体であるかは議論の余地がありますが、少なくとも漢籍解題本文では「晋」を用いていますので、「晋」に統一します。漢籍解題本文内で用字が一定していない場合は適宜統一しました。
    12. 「旧:余および餘→新:余」のように字体簡略化に際して複数の文字を一つにまとめたものが少なからずあります。この場合「新:余→旧:餘」という変換をしてしまうと、本当に昔から「余」だったデータを検索できないことになります。そこでこういう場合は、当WEB漢籍解題上のデータがすべて昔から「餘」であり、「余」だったデータが存在しない、というようなときに限って「余→餘」という変換をすることとします。ですから新字体→旧字体変換ができない場合は、そういう変換ができないのだと思って、諦めて何等かの手段で旧字体で入力してください。
    13. 検索画面に入力したデータを消去して初期状態にするには「リセット」をクリックします。またタイトルの「WEB漢籍解題」というところをクリックしても同様です。
    14. 原著には仮名索引や字画索引がありますが、WEB版では漢字のまま入力して検索すれば事足りるので割愛しました。とくに仮名の読みに関しては、『玉篇』(ぎょくへん)を「ごくへん」と読むべきだという厄介な読み癖がいろいろあるうえ、中国語として読む場合はそういう議論が無意味になってしまうので、一切取り扱いしません。



  3. 著作権について
     桂五十郎の没年は1937年であり、本書の保護期間は著作権法第51条により1987年末をもって切れております。よってこのコンテンツに関しては著作権法上の問題は発生しないことを確認しておきます。



  4. その他
     その他の注意事項です。
    1. 原著中の3~4桁の年表記は一見西暦のように見えますが実は皇紀ですので、西暦に直すには660を引いてください。(例)建安十四年(八六九)年→西暦209年