[ホーム井上WEB支那語辞典]

口上と解説




  1. 井上WEB支那語辞典とは?
     戦前の中国語、当時の言い方でいう支那語の辞典として非常によく用いられたのは、井上翠(いのうえ・みどり)氏の作った一連の辞典です。このうち昭和10年に文求堂から出た『井上ポケット支那語辞典』、および昭和12年に龍文書局から出た『井上ポケット日華辞典』がさまざまな意味で最も使いやすい辞典といえます。この『井上ポケット支那語辞典』をWEB上で引けるようにしたのがこの「井上WEB支那語辞典」です。
     辞書の電子化というと見出し語も説明文もすべて文字コード化するのがふつうですが、ここでは全頁の画像をスキャンするという形で電子化しました。これは全く原始的な方法ではありますが、画像そのままですから原著の誤植以外には絶対に誤入力することはありませんし、やっかいな文字コードの問題をも解決することができます。画像ですからもちろん説明文の全文検索などはできず、電子化の意味はないと思うかもしれませんが、原著がウェード式ローマ字を用いていてひきにくいし、索引は部画索引しかないんで、WEB化する意味はあります。
     このページでは「井上WEB支那語辞典」の操作法を中心に説明します。
     原著の例言は原著序言・例言(支那語辞典=華日)原著序言・例言(日華辞典)をご参照ください。
     また、このコンテンツの著作権に関してはこのページのおしまいのほうの著作権についてをご覧ください。



  2. WEB版の例言(使用法)
    1. 使い方の大原則は、左上にある検索窓にキーワードを入力して、をクリックすることです。
    2. 『支那語辞典(華日辞典)』と『日華辞典』の切り替えは、キーワードの種類による自動判別です。すなわち、ひらがな、カタカナのキーワードを入力すると自動的に『日華辞典』になり、それ以外のキーワードを入力すると『支那語辞典(華日辞典)』になります。単に華日←→日華を切り替えるだけなら、ひらがなの「あ」を入力して日華に、ローマ字の「a」を入力して華日に変更かるのが楽です。
    3. ローマ字を入力すると、華日辞典のそのローマ字の最初のページに移動します。『支那語辞典』の本文はウェードですが、拼音でもけっこうです。
    4. ウェード 拼音」というのは、ウェードと拼音に共通するローマ字を入力したときに、どちらで解釈するかを指定するものです。ウェードにしか存在しないスペル、拼音にしか存在しないスペルを入力した場合は、このボタンの指定にかかわりなく自動判別します。
    5. 声調はスペルのあとに数字の1~4で入力します。この方式になじみのない人のために、声調記号つきローマ字を入力できるボタンを用意しましたが、実際には数字をあとにつけるだけでOKです。
    6. ウェードのêとŭを入力するためのボタンを用意しましたが、実際にはe、uと入力すればOKです。
    7. ウェード・拼音のüは、一応ボタンを用意しましたが、実際にはvと入力すればOKです。
    8. 漢字を入力すると、その漢字のページにジャンプします。『支那語辞典』では破音字(多音字)を一つのページにまとめていますので、発音にかかわりなく調べたい漢字を入力するだけでOKです。なお、2文字以上入力した場合は先頭の1文字だけ見て、その漢字のページにジャンプします。熟語ののっているページにジャンプするわけではありません。たくさんの漢字を調べたい場合は、まとめて入力して、先頭を[DEL]などで消しながら次々と検索すると楽です。
    9. ひらがな、カタカナを入力すると、『日華辞典』でその読みの語がのっていると思われるページへとジャンプします。「思われる」というのは、検索用の索引には全部の語を入力しているわけではなく、各ページの先頭の語だけを入力してそれと比較しているだけですので、存在しない語を入力しても、もしのるとすればこのページにのるというところにジャンプするからです。



  3. 著作権について
     底本『井上ポケット支那語辞典』『井上ポケット日華辞典』の著者・井上翠の没年は1957年であり、井上翠名義のすべての著作の保護期間は著作権法第51条により2007年末をもって切れております。よってこのコンテンツに関しては著作権法上の問題は発生しないことを確認しておきます。
     その一方で、WEB化のための索引データについては、当青蛙亭主人に著作権が発生しておりますが、特に著作権の主張はいたしませんので、自由にダウンロードしてお使いください(→リンク集&各種情報)。また画像データもここからダウンロードすることができます。
     もちろん当「井上WEB支那語辞典」へのリンクはフリーです。



  4. なぜ『井上ポケット支那語辞典』を選んだか
     井上翠の作った辞典は、日華辞典のほうは実質的に一種類しかありませんが、華日辞典はこの『井上ポケット支那語辞典』のほかにもいろいろ作りましたが、その中でなぜこれを選んだかを説明します。
     まあ結局は「たまたま手元に持っていたから」なのですが、井上翠の他の辞書と比べても『ポケット』が一番使いやすいと思ったからです。
     井上翠の作った主な辞典は次のとおりです。
    書名略称発行年発行者本文頁
    日華語学辞林日華1906博文館・東亜公司616
    井上支那語辞典辞典1928文求堂1643
    井上ポケット支那語辞典ポケット1935文求堂754
    井上支那語中辞典中辞典1941文求堂1388
    井上中国語新辞典新辞典1954江南書院1111
     リンクをクリックするとサンプルとして「愛」の載っている頁を表示しますので見比べてください。
     明治期の『日華』(日華というタイトルですが実際は華日辞典です)はレトロなのはいいのですが現代の中日辞典と体裁が違いすぎて使いづらく、戦後の『新辞典』はもう「中国語」の時代で、ピンインでなくウェード式ローマ字という点を除けば光生館の『現代中日辞典』や大学書林の『中国語辞典』のような今でも現役の辞典と時代がだぶってきて、レトロという特徴がなく、WEB化する面白さがありません。
     『辞典』は『日華』同様の使いづらい体裁です。『中辞典』は発音も表記され、現代の中日辞典的体裁を整えており、戦前の「支那語」の辞典の決定版といえるものですがややページが多いきらいがあります。すべて画像化するわけですからできればページ数は少ないほうがいいですから。それに『ポケット』の説明や採録語彙と比較しても、あまり違いがありません。すると、コンパクトながら『中辞典』にひけをとらない『ポケット』のほうがWEB化には適しているのです。
     そんなわけで戦前の「支那語」辞典の代表たる井上翠の華日辞典の中でも『ポケット』をWEB化の素材として選んだわけです。